サッカー(ヴェルディ)以外の日常を綴ります。
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Fri
2012.07.27
15:23
 
ひまわり事件


郊外の住宅街。
隣接する有料老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」。
両方とも県会議員の理事長兼、
建設会社社長の磯貝がオーナーだ。
ベタな一族経営の2つの施設の垣根が、
ある日トップ独断で撤廃される。
選挙目当てのパフォーマンで
無理やりに進められた「ひまわり苑・園の一体化」。
その事が偶然にも、
老人・誠次と幼稚園児を結びつけた。
互いに互いの存在を疎み戸惑いながらも、
不思議な時間を共有する。
そしてついにある事件が起こる。
世の中の矛盾に対し、
ただ静観するのではなくどう向き合って行くべきかを、
コミカルに問題提起した人気作。


老人と園児。
その組み合わせは、
多くの人が想像する通りキュンとする。
妻に先立たれ独り余生を「ひまわり苑」で過ごす誠次。
苑には不満もあるが残り少ない人生、
出来るだけ荒波を立てないとうに生けれればと、
なかば諦めていた。
そんな中、
突如実施された苑・園の一体化。
平穏を壊したのは理事長の選挙対策のパフォーマンスだった。
今では園児と老人が敷地内を自由に行き来する。
それを疎ましく思っていた誠次だったが、
落ちこぼれ幼稚園児・晴也と出会った事で状況が変化した。
誠次と晴也は互いに距離を持ちながらも、
ひまわり栽培を通して徐々に親密になっていく。
父を失い祖父母との関係も稀薄な晴也。
小児肥満の秀平。
小ギャル幼稚園児の伊梨亜(いりあ)。
携帯ゲームばかりをやっている和樹。
個性豊かな現代っ子の彼らは、
まるで大人たちのミニチュアの様。
不器用ながらも家庭や幼稚園に不満がある。
それは誠次がホームに抱く不満と根本では同じ様なモノではなかったのだろうか。


小説の後半は、
園児と老人のほのぼのとた触れれあいから一転、
ホーム経営者の不正を摘発する元過激派の老人の事件へと発展する。
組織の暗部に対し徹底抗戦をする男。
それは園児達にとっても誠次にとっても異質な存在であった。
常軌を逸した行動は危険を孕んではいたのだが、
同時に自らの意見を発し続ける姿に、
各々が各々なりの思いを深めていく。
僕は学生運動とは縁の無い世代であるが故、
うはり過激派の老人が叫ぶシュプレヒコールには違和感があった。
それでも現状に甘んじて、
本来是正すべき事をも包み込むように避けてしまう現代の姿勢に対し、
少なからず物足りなさを感じてしまった。
余生を静かに過ごすだけだったはずの誠次にも、
まだ世の中のほとんどを知らない園児達にも、
やはり訴えるべき事はある。
つまるところ自分の意見は、
しっかりと伝えようぜ。
そういう風に言っている様に感じた。


物語は長編小説らしくボリューミー。
荻原浩らしくユーモアでウエットに富んだ文章は十分に楽しめるはずだ。
園児達は自らの過去を思い起こし、
誠次達老人は、
これからの人生を予見させる。
いずれも世代は違えど自らに投影させつつ読んでいた。
思えばそういった別世代の人間と付き合う事も少ない世の中。
彼らが何を思い何に生きているかなんて知る由もない訳である。
しかし考えてみたら当然で、
彼らは彼らなりの生活を営み、
彼らなりの思いの中に生きている。
少子高齢化が叫ばれる世の中で、
世代間の交わりは極めて稀薄だ。
小説では本当の意味でそういった垣根を越えた姿が描かれている。
もちろん急には世代の垣根なんて越えられない。
自分の意見をぶつける環境なんてないかもしれない。
それでも忘れてはいけない大切な事。
老人や子供達の訴えが、
僕の心に深く刻まれた。
この小説は意見を持たない僕らへの警鐘に違いない。
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