サッカー(ヴェルディ)以外の日常を綴ります。
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Thu
2012.05.03
12:50
 
起終点駅 ターミナル

化粧品会社華清堂で働く敏腕OL笹野真理子は、
角田吾朗という謎の男から
「竹原基樹の納骨式に出席してほしい」という手紙を受け取る。
竹原は以前、
真理子との深い仲を破談にし、
独り故郷の北海道へと戻っていった男…。
<かたちのないもの>
大手新聞社に入社した新米記者の山岸里和。
セクハラをしても悪びれない上司に辟易しながらも、
日々躓きながら奮闘している。
そんな最中に偶然であった落ちぶれた釣り人。
密漁を犯しながらも、
悠々自適に生きる初老の男性を通して、
里和は何を知り何を悟るのか…。
<海鳥の行方>
とある事情から国選弁護しか引き受けない事を誓った鷲田完治。
ありふれた覚醒剤使用事件で椎名敦子という女の弁護を請け負う。
滞りなく裁判は終わったのだが、
その後敦子が再び鷲田のもとに訪れ、
逃走中の恋人を助けて欲しいと懇願される。
<起終点駅>
などなど、
全六編のショートストーリーが、
北海道を広大な土地を通して語られる。
彼等彼女等の起終点駅 とは?
生きる事の難しさが、
独特の柔らかなタッチで綴られている。


北海道の美しさや厳しさを背景に語られているのは、
誰にでも起こりうる孤独である。
大手化粧品メーカーで出世街道を進む笹野真理子は、
恋人竹原への未練を、
仕事への情熱に変え孤独を隠す。
新米記者の里和も、
なかなか評価されぬ仕事ぶりに対して悩み、
次第に恋人や自らの日常を失いつつある。
そしてそれぞれに対峙する、
恋人達や出会った人々も、
どこかに傷を負い孤独を抱えている。
それは劇的ながらも、
読者誰もが共感出来る孤独だ。
この小説が心に沁みるのは、
きっと皆が心に秘める寂しさが書かれているからであろう。


例えば、
海辺に住む老婆や、
晩年に若い作家と過ごし後に孤独を選んだ女流詩人、
妻子と別れ弁護士の時だけしか自分を表現出来ない男などは、
自らの意図で孤独を選んだ人間だ。
逆に敏腕OLや新米記者、
故郷を捨てた元ホステスなどは、
迫り来る故郷に怯えている。
そして、
それぞれの孤独が、
多くの人が絡む事で、
微妙に変化していくのだ。
<たたかいにやぶれて咲けよ>というエピソードで、
若手作家が老詩人との蜜月を書いた小説を書き上げるシーンがあるのだが、
その中にこんな一文がある。

「リツさんと僕は、
ふたりだけどひとりだった。
ひとりだけれど、
ふたりだった」


孤独とは決してひとりとは限らないのだと感じた。
どんな人でも決してひとりでは生きていけない。
しかし生きる上では、
最終的に自分自身しかいないのだと。
そしてそれでも人は誰かを想わざるには生きていけないのだと。


僕自身に重ね合わせても、
孤独に対しての恐怖は消えない。
日々の仕事や環境に忙殺されがちな僕等の年代は、
過去の関係が稀薄になるのに怯え、
今ある存在が失われるのではないかと恐れる。
もう結婚など出来ないのはないか、
薄れゆく人間関係から社会に取り残されていくのではないか、
仕事ばかりに気を取られるうちに本当の幸せを逃しているのではないか!?
落ち込んだ時などに、
そんな事を考えるのは、
決して僕だけではないだろう。
作品の中の人達も、
そういった不安を抱えている。
でも気づかない。
独りであったも周りには多くの人がいる事に。
だから余計に不安になって、
心を乱しているのだ。
どうせ人生の終着点は、
自分自身で決めなくてはならないのだから、
孤独と向き合うべきなのかもしれない。
そうする事で、
周りの温かさが見えてくる。
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