サッカー(ヴェルディ)以外の日常を綴ります。
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Sun
2012.02.12
19:40
 
ビブリア古書堂の事件手帖2~栞子さんと謎めく日常~ 三上延


鎌倉に古くから店を構える、
なんの変哲もない古書店が舞台。
見た目は美しいけれど、
どこかネジが抜けている店主と、
美人の店主に惹かれて店員になった青年。
そして青年は、
美人店主が古本にまつわる事なら類い稀なる洞察力を持っている事に気づく…。
古本が関係した様々な謎を解き明かしていく人気シリーズの第2作目。

という訳で2作目だ。
もちろん前作も読んだ。
この作品は、
古本にまつわる人間模様を軸としている。
以前に読んだ人がいる以上、
必ずその本には物語が存在する。

作者の本に対する愛情が伝わる、
そんな側面に好感が持てた。
読者好きの人間には、
なんとなく流行ったライトノベルぐらいにしか思っているかもしれない。
実際に僕がそうだから。
ただそういう小さい偏見で、
読まないのだとしたら、
些か勿体無いと初めに断っておく。

まず男子目線で話そう。
思わず作品に惹かれる一番の要因は、
美人店主・栞子さんにある。
カワイイのだ。
陳腐に思われるかもしれないが、
それは女性の事なれば単細胞になる男子脳がそうさせる。
よって我慢しなさい(してください)。
ちょっと話を脱線しよう。
森見登美彦氏が書く小説には、
頻繁に男子読者が惚れてしまいそうな女性が登場する。
いわゆる黒髪の乙女だ。
彼女達は、
大きな瞳にまっすぐ伸びた黒い髪、
そしてほっておけない不器用さがある。
これこそが、
男子脳を惑わす。
栞子さんも同様だ。
女性からしてみたら、
そんな人は絶対にいないし、
男の間抜けな妄想と、
軽く怒られるかもしれない。
しかし文学にこそ、
妄想のつけいる隙はあるのだし、
こういった“ありえない”美人像を愉しむのは、
男女問わず(源氏物語がその筆頭)、
遥か古代から存在していた本の在り方であると思う。
大真面目に言う話ではないが。

ほとんどの部分が栞子という女性の魅力で出来ている本作だが、
ショートショートのエピソードもなかなかハートウォーミングである。
ネタバレになるので多くは言えないが、
2作目では栞子の母が大きな鍵を握る。
全体を通しては前回同様に本にまつわる人々を描いているのだが、
段々と核心に迫る過程も面白く読めるだろう。
ちなみに個人的には、
読書感想文を書く女の子の話が好きだ。
僕にも同じ経験があったからかな。
本が好きで気になる作品があっても、
年齢的に(個人差はあれど)読破出来ない事は確かにあるもの。
僕は他人の盗用まで頭が回らず、
あとがきで終らしてしまったのだが…。
ああいった種のもどかしさを思い出し、
なんだか懐かしく感じたものだ。

さてと。。。
ではこの作品が今後も順調にシリーズ化されていくか…。
ちょっとそれは疑問である。
まず最たる要因は、
再びの登場である栞子さんの存在。
彼女の魅力は、
不器用さとあまり周り(とりわけ男性)を寄せ付けないオーラにある。
ただどうしても話が進むにつれ、
一般の女性に近づきつつあるのだ。
店員の男性・五浦大輔との距離も徐々に狭くなった。
恋愛小説の一面もあるので致し方ないのであるが、
これは作品にとって死活問題であると思われる。
彼女の純潔さが失われたら…。
少なくとも僕はショックである。

そして、
もうひとつはまたちょっと違う角度から。
それは本題でもある古書との向き合い方だ。
この本は本マニアに書かれてはいない。
だからこそ文学作品の説明は非常に分かりやすく書かれている。
これも本書の魅力だ。
だけど…。
どうも最近は、
薀蓄に偏りすぎているようで気になる。
例えばどこどこ出版社の初版であるとか、
これは司馬遼太郎の素人時代の本であるとか…。
本当は、
もっと本の中身と作品をリンクして欲しい。
別に本の収集の魅力は二の次でも…。
本のよさであったり作品のよさを、
本当の意味で分かりやすく説明する作品であって欲しい。
そうなったらそれこそ、
ライトノベルとは言わせない。


さて。
また次の本で。

 
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Fri
2012.02.10
16:13
 
解錠師


幼少期の惨事を機に、
話す事を捨てた主人公の少年マイクル。
彼に出来ることは、
絵を描くことと
閉ざされた錠を外すこと、
それとたった一人の恋人アメリアを愛することだった。
物語は、
投獄された主人公が、
半生を打ち明けていく形態。
金庫破りになるまでの少年期と、
プロの金庫破りとして犯罪に手を染めていく話が交互に語られる。
決して話す事をしない青年の、
心に閉ざされた闇が解かれる日は来るのか。
MWA・CWAの両賞の他、
バリー賞最優秀長篇賞や全米図書館協会アレックス賞をも受賞した話題作。


けっして動かないよう考え抜かれた金属の部品の数々。
でも、
力加減さえ間違えなければ、
すべてが正しい位置に並んだ瞬間に、
ドアは開く。
そのとき、
ついにその錠が開いたとき、
どんな気分か想像できるかい?

マイクルが読者にそんな事を話しかける一文がある。
解錠に対する芸術的な一面を巧みに表した言葉だ。
やはりこの本で一番の魅せ場は、
金庫を破るシーンにある。
錠を開けるだけの作業が、
こんなにエキサイティングだとは思わなかった。
まだプロの金庫破りになる前の“素人時代”から、
それぞれが個性的な犯罪者達と共に巨大な金庫を攻略するシーンまで、
まさに手に汗握る場面の連続!
時に官能的とも言える表現は、
激しいアクションシーンにも負けない臨場感があった。
これだけでも読む価値がある作品だ。

そしてもうひとつ。
作品の肝となるのは、
主人公の悲しい運命と、
それを必死に抵抗する姿だ。
幼少期のある悲しすぎる出来事により、
主人公は声を発する事が出来なくなってしまった。
そして悲しい運命が、
マイクルを徐々に混沌へと誘っていく。
彼の心の声と裏腹に、
現実は冷酷かつ情け容赦ない。
貧困と犯罪というアメリカ社会が抱える問題を鋭く描いているのも本作の特徴だ。
物語には終始犯罪者が登場する。
その在り方も実に様々で、
とても重厚な人間味が表現されいる。
後半から残酷なシーンも多く、
非常に切ない気持ちになるのだが、
救いようのない社会の中で生き抜く、
それぞれの人間の姿には、
強い感銘を受けた。

マイクルが人間として正常な心を取り留めている理由。
それこそ、
物語の中で一貫して語られる唯一の恋人、
アメリアという女性の存在だ。
愛する人と一緒にいたいという一心が、
彼を幾度となく罪への後悔を生む。
ところがマイクルは、
最初に鍵を開けて不法侵入した家で彼女を知った。
犯罪を犯さなければ会えなかった相手というのも奇妙な縁だ。
彼女と愛を深めていくシーンは、
主に絵を介して話される。
マイクルのもうひとつの才能である絵を描くことが、
どのように最後影響したかは、
是非読んで確認して欲しい。

さて、
ちょっと意地悪な事をいうと、
アメリカの貧困と犯罪というベタなテーマは、
本当の意味で日本人の共感を得られにくい。
昨今では日本でも格差社会が叫ばれているのだが、
アメリカ社会におけるソレとは性質が異なると感じた。
それはどこか対岸の火事の様にも映るし、
リアルとして心に刻まれたかと言えば、
日本人の僕には響かない部分もあったのは隠しようない。
だけど、
全体を通してはエキサイティングであるし、
青春文学として美しく丁寧な恋愛が描かれていた。
問題提起の矛先が日本人とはズレていたとは言え、
文学的な完成度は不変だ。
間違いなく傑作であるという事はハッキリと言いたい。
それと非常に分かりやすいので、
翻訳本(洋書)に馴れない方も安心して読めるはず。
翻訳者のセンスも感じられる。
という訳で、
自信を持ってお勧めしたい一冊だ。


さて。
また次の本で。 
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